私たちの目指す未来 ~小田編⑳(最終回)~ | 札幌のカウンセリング こころの羽

Close

ブログblog

私たちの目指す未来 ~小田編⑳(最終回)~

こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングルームこころの羽』のスタッフ小田です。

前回までのエピソードはコチラ↓
うつ病体験記1
うつ病体験記2
うつ病体験記3
うつ病体験記4
うつ病体験記5
うつ病体験記6
うつ病体験記7
うつ病体験記8
うつ病体験記9
うつ病体験記10
うつ病体験記11
うつ病体験記12
うつ病体験記13
うつ病体験記14
うつ病体験記15
うつ病体験記16
うつ病体験記17
うつ病体験記18
うつ病体験記19

前回のブログで、「うつ病は心の風邪というよりも、脳の作動不良と表現した方がしっくりくる」とお伝えしましたが、このことについて、もう少し掘り下げていきたいと思います。

人間は、脳が伝える指令に基づいて、体の各部位を動かしています。

仮に、私のすべてを「A国」、脳を「政府」、体の各部位を「国民」と考えたとします。
健全な国であれば、国民の意見を尊重しながら、政府を運営していきます。
例えば、このところ頑張り過ぎているから今日はゆっくり休もうというように、「体(国民)」の意見を聴きながら、「脳(政府)」が、「私(A国)」の行動を決めていきます。

ところが、「私(A国)」は、「脳(政府)」で『~した方が自分の成長につながる』をスローガンにして、「体(国民)」に長く圧政を敷きます。
そんなある日、統制の取れていた「体(国民)」が、「外的ストレス(B国、C国)」の干渉をきっかけとして、クーデターを起こします。
これまで「脳(政府)」主導で様々な意思決定を行っていた「私(A国)」は、混乱状態に陥り「脳(政府)」のコントロール力を失う…。

これが、私のうつ病です。

人によって、「外的ストレス(B国、C国)」の干渉度合いが大きいことが原因の場合もあるでしょうし、圧政が長く続いたことが原因の場合もあるでしょう。

いずれにしても、うつ病になる原因は単純ではなく、様々な要因が重なり合っているのです。

うつ病になったら、「脳(政府)」主導の「私(A国)」運営を休止し、まず「体(国民)」の意見を聴くことに力を注ぐことが大切です。

闘病に一定期間を要するのは、「脳(政府)」と「体(国民)」の闘いの時間がかかるからです。
あっさりと、「脳(政府)」が白旗を上げるわけではなく、圧政が長く続いている場合ほど、政権を取り戻そうと「体(国民)」と闘い続け、綱引きを繰り返すのです。
このループにはまると、自分一人の力で抜け出すのは難しいと言わざるを得ません。

医療機関、家族、友人など、第三者の力を借りるとともに、これまでの「私(A国)」運営を見直すことが大切です。

いつも、前ばかりを向いていて、「先」を見ていた。
「今」をないがしろにして、自分自身を追い立て、走り続けているうちに、危険信号に気が付かず、いきなり倒れてしまった。

それが私です。

私は、医療機関や私の未来を信じてくれる人たちの支えとともに、これまでの私運営を岡本さんというカウンセラーと一緒に振り返って、自分の過去、本当の気持ち、未来への希望を時間をかけて整理していきました。

うつ病経験は、大変苦しいものですが、この経験がなければ、本当の気持ちに気付くこともなく、毎夜「このまま目が覚めずに明日死んでいてもいいな」と思いながら、まずまず順調な人生を送っていたかもしれません。

このブログを読んでいる方の中には、家族や友人など身近な人が支えとなって回復した方もいるでしょう。
また、現在闘病中の方で、私と同じように身近な人に全てを打ち明けることが難しく、打ち明けることの方がストレスを感じる、大切な人にこそ打ち明けることへの相手の負担感やわかってもらえない時の失望などのリスクを考えてしまう・・・そんな方には、是非一度、カウンセリングを受けることをオススメしたいです。

過去の私にアドバイスするとしたら、もっと早く、もっと気軽にウンセリングを受けていれば良かったね、そうしたら、もう少し楽に、自分に優しく生きられたよねという言葉です。

この経験を踏まえて、「カウンセリングをもっと身近に」が私と岡本さんが目指す未来です。

カウンセリングでもっと笑顔に

ただ身近なだけではなく、カウンセラーの質を保ち、仲間たちと研鑽を重ね、様々な事情から「生きづらい」と感じる人たちの支援をすることで、現代の日本を明るく照らしていけたら・・・。

現代の日本は、世界有数の先進諸国ですし、敗戦国として戦争放棄をしています。

私たちが食料不足や内戦による混乱などに悩まされることはありません。

一方で、SNSが身近な存在となり、情報網の発達が続く現代の日本において、意識的に情報を選別し、自分軸を確立していかなければ、あふれる情報に飲み込まれ、悩み多き日々を送る可能性が増えたとも言えます。

それを、「今の状況に幸せを感じる努力をせよ」と言ってみても、あまり効果的とは思えないのです。
それよりも、自分の中で溢れそうになる情報や価値観を定期的に見直しして、自分にとって必要なものを残すという棚卸し作業を意識的に取り入れていく、そこにカウンセラーがサポートできることがあるのではないかと思います。

私は、休職前日に上司に言われた「小田さんの経験が今後、心の病気で苦しむ後輩たちの相談に活かすこともできるかもしれない」という言葉を忘れたことはありません。
直接、会社の後輩たちにその使命を果たすことはできませんでしたが、私ができることを少しずつ社会に対してお返しすること、これが私の次の使命だと感じています。

今回でこの連載は終了となります。今まで読んでいただき、ありがとうございました。

◆岡本から、ひと言コメント

この『うつ病体験記』も今回で最終回となりました。
連載がスタートした10月には寒くなり始めた札幌もすっかり春を感じる暖かさになり約半年の季節の移り変わりを改めて実感しています(^^)

今回のエピソードの中で小田さん個人を「脳」「体」「自分」と分けて考える表現がとても面白く、「心・技・体」という言葉を連想しながら読んでいました。

私はこの「心・技・体」3つのバランスが大切なのではないかと考えています。

・心:「気持ち」「モチベーション」「やる気」など、何かを実行する時には心の健康が大切なのは誰もが感じていることだと思います。
その反面、心のケア(小田さんが書いてくれた言葉で表現すると「心の棚卸」)を疎かにしてしまいがちなこともよくあることです。
油断してしまわずに、目には見えない「こころ」にも意識を向けてみることが良い状態を維持するための第一歩かもしれません。

・技:「何かを達成しよう」と思ったときには心と体の健康だけでは難しい場合もあると思います。
何かの専門知識や技術が必要かもしれないし、場合によっては「資格」のような第三者からの認定が必要かもしれない。
それらを身につけるためにも心と体の健康を維持することも大切。
技術がなければ目標達成は難しいものですが、技術だけ追求してもダメということですよね。

・体:「健康」であることは理想だと思いますが、現実的に常に健康でいられるわけではないかもしれません。
だからこそ大切なのは、その時の「最善」を目指すことだと私は考えています。
「最高」のコンディションを意識することは、プロのスポーツ選手でも難しいことは日々のニュースなどでもよく耳にすることですよね?
「最高」は理想的ですが、常に維持することは難しいもの。
それであれば、常にその時の「最善」を保つこと、目指すことが大切かもしれません。

これらの3つのバランスがとれているのか、自分自身で気づいていない部分はないのか。

そんな視点をカウンセリングの中でカウンセラーと共有しながら前に進んでいくことが豊かな人生を手に入れるための近道になるのかもしれませんね(^^)

P.S.

小田さんとは、「この体験がいつか出版されると誰かの役に立つかもしれないね。」とお話しながらこの連載を続けて来ました(^^)

実は、この最終回は、小田さんが結構前に書き終えてくれていたのですが、私が「なんか最終回にしてしまうのがもったいない…」と思ってしまい…このタイミングまで公開を引き伸ばしてしまいました(^^;
最終回を読むのを心待ちにしてくださった皆さま申し訳ございません…m(_ _)m

恐らく、何らかのカタチでより詳しい状況や心の変化なども追記した「完全版」として皆さまの目に触れる機会も遠くない未来にあるのではないか?と思いつつ、ここまで読んでくださった皆さまに感謝の気持ちでいっぱいになっています。

本当にありがとうございました。

今後も皆さまのお役に立てるような記事を書いていきますので、引き続きご愛読いただけますと幸いです。

『カウンセリングルームこころの羽』岡本教兵

うつ病体験記一覧へ >

ブログ一覧へ >

ご予約はこちら
◆LINEから簡単予約する