カタツムリの波 ~小田編⑱ 自己肯定の第一歩とは~ | 札幌のカウンセリング こころの羽

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うつ病体験記depression story

カタツムリの波 ~小田編⑱ 自己肯定の第一歩とは~

 

かたつむり-うつ病の回復期

こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングルームこころの羽』のスタッフ小田です。

前回までのエピソードはコチラ↓
うつ病体験記1
うつ病体験記2
うつ病体験記3
うつ病体験記4
うつ病体験記5
うつ病体験記6
うつ病体験記7
うつ病体験記8
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うつ病体験記17

うつ病の回復パターンは、「①急性期→②回復期→③再発防止期」という期間を経ていきます。

急性期の自分の状態を振り返ると、心身ともに疲れ切っていて、体力も気力もなく、使い古した電池パックのように、80%充電したと思っても、少し使ったらあっという間に残り5%になってしまい、電池(体力・気力)の減り方にびっくりしながら、こまめに充電する(横になる)日々でした。

ご飯を食べている途中でも、急に疲れを感じ、「ご飯を食べるのにも体力がいるんだなぁ。」と実感しました。
特別なことをしているわけではなく、家の中で過ごしているだけで放電してしまうことに最初は戸惑いがあり、出かけられるようになってからも、急にやってくる電池切れに驚き、がっかりする日々でした。

ただ、私の急性期は、病状の波が少なく、少しずつ回復していることを実感できる日々でした。

昼夜関係なく急にバタンと電池切れになって眠っていたので、全体的にぼんやりとしていて、よくわからないうちに過ぎていった期間で、精神的な辛さはそれほどありませんでした。

一方、回復期では、睡眠の不安定さと病状の波を実感する日々でした。

以前は、バタンキュータイプだった私ですが、「寝つきが悪くなる→早朝覚醒が増える→1時間ごとの中途覚醒→ほとんど眠れなくなる」と悪化し、回復期ではこれら全てが混在又は短期間周期で繰り返すようになりました。

睡眠薬と抗不安薬は、減薬して使用しないようにしていたのですが、そんなところで根性を発揮しても体力面と精神面でダメージがあると観念して、その時々の症状に応じて、睡眠薬3種類を使い分けたり組み合わせるなどして、翌朝の自分の状態を観察して記録するようにしました。

また、比較的順調に過ごした翌朝、急に体が動かせずに午前中いっぱい布団の中で過ごすことも増えました。

私はこの状態を「カタツムリ」と呼んでいました。
ナメクジのようにじめじめとした自分が、布団をこんもりとさせて動かない姿がカタツムリみたいだと思うと少し気分が紛れました。

私は、このカタツムリ状態になると、激しく失望していました。

「半年以上もたったのに、仕事しているわけでもないのに、なんで動けなくなるの?そんなんでこれからやっていけるの?」と自分を責めていたのです。

カウンセラー養成講座を受講し、岡本さんと色々と話していく中で、この「カタツムリ状態」は少しずつ回復しているからこそ表れるのだと気づかされました。

回復期になると、できなかったことが少しずつできるようになっていきますが、自分がかつて出来ていたレベルにはまだ及びません。

急性期のぼんやりとした状態から考えると、能力が回復していることは有難いことですが、自分がかつて出来ていたレベルまで回復させたい、それに比べると今の状態はまだまだと欲が出てきます。

そうした欲が、無意識レベルで負荷をかけてハードルを上げていくので、どうしても無理がかかり体力と気力を奪っているのです。

そうしたことに気づいてからは、カタツムリの波に失望することも少なくなり、その波をじっと受け入れることができるようになりました。

(次回へ続く…)

◆岡本から、ひと言コメント

うつ病・うつ症状が「治らない」「治りにくい」と言われている要因の一つが、小田さんも体験した「出来ていたときとの比較→自己否定」を繰り返すことです。
本来であれば、ストレス過多のピーク時(急性期)と比べて回復期には「少しずつ」動けるようになってくるので、「回復している」「順調」ととらえることができるのですが、「自分のこと」となると「出来ていたときの自分」「バリバリ仕事していたときの自分」と比べてしまい「なんで、こんなことも出来ないんだろう…」と落ち込んでしまうことが多いのです。
この落ち込む状態は「ストレス」が生まれやすい状態です。
「やりたいことが出来ない」「想像している通りの結果にならない」というのは、ストレスを感じるもの。
周囲からのストレスが少なくなっていても、自分自身で発生させるストレスが多くなってしまうと心の負担は増えていきます。

回復期に入った後にも、順調に回復していくには「今の自分」を認めてあげることが重要。
小田さんの場合も「カタツムリ」状態の自分を受け入れることで更に回復の段階へ入っていきました。

うつ病・うつ状態になると「過去への後悔」や「未来への不安」を多く感じやすい気持ちになります。
そこを抜け出す大切なヒントは、「今」「ここ」を意識すること。

今は「理想の自分」からは遠い位置にいるかもしれませんが、人生は回り道をしながら成長していきます。
一見、同じ場所をぐるぐると回っているようでも、実際は「らせん階段」のように少しずつ上に登っていっているものなのです。

こころの成長-螺旋階段

うつ病・うつ症状を乗り越えてみると、それまでの人生とは違った景色が見えるのかもしれません(^^)
「今」は「今のあなた」で良いんです。いつでも、「そこ」がスタートラインなのですから。

『カウンセリングルームこころの羽』岡本教兵

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