こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングルームこころの羽』のスタッフ小田です。
前回までのエピソードはコチラ↓
うつ病体験記1
うつ病体験記2
3日後にカウンセリングの予約をした私は、少しほっとしました。身内や友人にも泣き言を言ったことがない私は、カウンセラーには守秘義務があるし、自分の人生には関係がない人だから二度と会うことはないし、嫌なら二度と行かなければいいし、お金を払っているから、ただ弱音だけ吐いて情けない私であっても責められることは絶対にないのだと安心していました。
私には両親も友人もいます。両親に弱音を吐くことはできなくても、友人になら話すことができたかもしれません。当時は、友人に話を聞いてほしいとメールをして、日程を調整し、場所を考える、そんなことすらできないほどに疲弊していたのです。インターネットで好きな時間に予約し、予約時間に指定されたカウンセリングルームに行ってお金を払う方が気楽に思えました。
カウンセラーの人に話を聞いてもらったうえで、自分の精神状態がどのようなものか判断してもらい、必要なら病院を紹介してもらおう、精神薬が必要ならどのような薬がいいかのアドバイスももらえるといいなぁ。そんな思いで当日を迎えました。
カウンセラーの岡本さんの第一印象は、優しそうなイケメンでした。イケメンの前では格好をつけたいところですが、時間を作って予約をして、お金を払って泣き言を言いに来た私は、90分間中の80分間、ひたすらに「自分はもうできないんです。」ということを訴えて、目が腫れるくらい泣き続けました。
岡本さんは、私の話を一通り聞いた後に、「心の中にはコップがあります。コップの中にはストレスという水が入っていきます。小田さんは、受け取るコップが人より少し大きかった分、これまで入ってくる水も多くて、ついに表面いっぱいまでたまってしまったのが今の状態です。表面張力状態の水を捨てることと、新たに入ってくる水をコップからそらすしか方法はありません。小田さんの上司に、小田さんの今の状況を話してみてはどうですか。」と言いました。
「それは……。私にとっては難しいです…。できません。」
そんなことができるなら、今の苦しい私は存在しないはずです。泣き続けているうちに時間がきたので、提携の精神科があるかを聞きましたが、特に提携の病院はなく、どのような精神薬が私に適しているかについても病院を受診の上で、必要に応じて処方されるとのことでした。涙と鼻水をティッシュで拭いて、次の予約をすることもなく、顔を上げられないまま、お金を払ってそそくさとカウンセリングルームを後にしました。
そっか…。まぁ、お医者さんじゃないから薬はオススメできないのは当たり前か。でも提携の病院はないのか。さすがに歯医者じゃないから、会社の人にオススメの精神科を聞くわけにもいかないし…。どうしようかな。でも、これまでの人生の中であんなに「できない」を連発したことってなかったなぁ。「できない」って言葉は恥ずかしいことだけど、なんでこんなにすっきりしているんだろう。
私、本当は「できない」って言いたかったんだな。
◆岡本から、ひと言コメント
当時のことを振り返って、私も懐かしく感じながらこのブログへのコメントを記入しています。
当時の小田さんの状態は、自分自身が感じているストレスの大きさから目を逸らすことで自分を保っているような印象でした。
人がストレスを感じることは、すごく自然な状態です。
この自然な状態を受け入れ、その上でストレスへの現実的な対処方法を見つけていくことが大切だと私は考えています。
仕事への意識が高い方や責任感が強い方の場合は、このストレスを感じていること自体を否定してしまったり、気付かないふりをして心が悲鳴をあげてしまうことがあります。
そんな時には、利害関係では無い「カウンセラー」への相談は、とても有効かもしれませんね。
今回の小田さんのエピソードでもカウンセリングの後に「すっきり」した体験が綴られています。
これは、自分の本音を言えたこと、涙を流すことでストレスが減少したことの結果なのだと感じます。
普段、上司や部下に気をつかうことが多い立場の方だと、特に「本音が言えない」ことがストレスの要因になる場合もあります。
そんな時には、まず「本音を話せる場所」をつくることから、始めてみることをお勧めします(^^)
『カウンセリングルームこころの羽』岡本教兵