「自責思考」の向こう側 ~小田編⑰~ | 札幌のカウンセリング こころの羽

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「自責思考」の向こう側 ~小田編⑰~

カウンセリングの中で気づくこと

【カウンセリングで何に気づくのか。その効果とは】

こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングルームこころの羽』のスタッフ小田です。

前回までのエピソードはコチラ↓

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私の成育過程は決して不幸だったとは思いませんが、安心や楽しさを感じる時間は少なかったように思います。

3歳の時に一度両親が離婚し、短期間で住所が、父、母、親戚宅と変わり、家族以外の他人がいる環境で、不安と気遣いの中、暮らすことが多かったのです。

幼い頃に、短期間で環境が変わることは非常にストレスであり、保護者がいなくなることに不安を抱え、落ち着かなかったことを良く覚えています。
と同時に、優しくて安定した環境を提供してくれる人なら、保護者が肉親でなく、他人であっても良いとさえ思っていました。

そのような不安定な環境は「嫌なこと」ですが、その「嫌なこと」を両親が作っていると思うことがどうしてもできませんでした。子どもは親を責めることなどできないのです。

「どうして毎日嫌なことが起きるんだろう」と思った時に、自分の一日の行動を振り返るようになりました。
そうすると、「挨拶をしなかった」とか、「靴を揃えずに家に入った」とか、自分の良くなかった行動が一日一つは思い浮かびます。
「そうか、これはその罰なんだな」と思えば納得してホッとできました。

こうして起こった出来事を自責と考える基礎が出来上がっていきました。

欧米諸国であれば、このような自責思考は馬鹿げたものであり、ナンセンスと指摘されると思いますが、日本では意外とこのような思考が歓迎される傾向にあります。

そして、自責思考を基礎にすれば、家族にも他人にも失望することは少なくなり、環境に左右されない自分が強化されていくのです。

これは私が備えた悲しい武器でした。

自責思考も度が過ぎると、自らも滅ぼす危険な武器になります。

もともと持っている自責思考だけでも自分に与える負荷は相当に大きいものだったと思いますが、うつ症状により自責思考が更に大きくなり、自らを滅ぼしてしまったのです。

そして、私自身も20年前に離婚を経験しました。

ある日突然、ブツンと切れたような後味の悪い終わり方で、この時以上に苦しい経験はないのではと思います。
この経験が、私の自責思考に拍車をかけた面もありました。

岡本さんとのカウンセリングでは、直近1か月→過去1年間→幼少期の順に話して、20年前の離婚のことは一番最後にお話ししました。

カウンセリングの時は、いつでも泣けるようノーメイクで行っていましたが、離婚編の時は、岡本さんにティッシュの増量をお願いして、自らもタオルを持参して臨み、頭が痛くなるくらい泣きました。

今まで、自分の歴史をこんなにたくさん話したのは初めてです。

別に秘密主義というわけではありませんが、話す相手に負担を与えてしまったり、重い気持ちにさせてしまうのではないかと思って、話すことができませんでした。

私は、聴く相手が、①自分の話を淡々と聴くことができるか、②見当違いのアドバイスをしないか、という二つの条件を無意識に課して、相手を選んでいたのかもしれません。

私は、起こった事実だけではなく、その時自分がどう感じ、どう判断して行動に移したかを思い出しながら話し、岡本さんはそれを真剣に聴き、私の話から的確に私の真意を分解し、分析していく。

そして、私自身が気づけるよう導き、私は、「もしかして、これも苦痛だったのかな。」「本当はやりたくなかったのかな。」など、自分の負の感情に気がついていく。

カウンセリング初期は、「本当はできないって言いたかったんだな。」と気がつき、カウンセリング終盤では「嫌だ」を「仕方がない」に変換していた考え方の癖と、長い時間をかけてコップに水を溜めてしまったことに気づきました。

離婚編のカウンセリングを終えた日の日記には、こう書いています。
「離婚の苦痛を乗り越えられない自分の弱さを責めて、逃げることを負けと思って頑張って生きてきたけど、もう頑張らなくていいの?」と。

(次回へ続く…)

◆岡本から、ひと言コメント

私が担当するカウンセリングの初期段階では、相談者さまとカウンセラーの間で「信頼関係」を築くことを最優先に考えており、その結果として他者には言えなかった本音を吐き出してもらうことが一つのテーマとなります。

この「信頼関係」がないとその後のカウンセリングでも心の深い部分には辿り着けず、本当の意味での「回復」に繋がらないのではないかと私の場合は考えているため、とても重要視しているのです。

その後、「現在のストレス」に気づくこと、「過去に似たようなことを繰り返していないか」「それらの原因は、どんな体験が土台になっているか」などと少しずつ相談者さまにとっての「原体験」とでも言うべきエピソードに遡っていくことがカウンセリングの一例です。

もちろん、これも“一例”ですので、相談者さまの希望や価値観によっては、まったく別の流れでカウンセリングを進めていく場合もありますし、一度のカウンセリングで「スッキリしました」とおっしゃっていただけることもあります。

これらは一対一でお話を進めていくからこそ、それぞれの相談者さまに合わせて一緒に方向性を決めていくことができることも『カウンセリングルームこころの羽』の大きな特徴かもしれません(^^)

小田さんの場合も、ご自身の過去をお話いただく中で少しずつ「自分」への意識が変化していったように感じます。

人生は十人十色。

絶対的な「正解」もなければ絶対的な「間違い」もないのです。

強いて言うのであれば、「自分なりの正解」を見つけていくことこそが「人生」なのかもしれませんね(^^)

そんな「正解探し」を日々のカウンセリングの中でお手伝いさせていただくことが私の役割です(^^)v

『カウンセリングルームこころの羽』岡本教兵

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