こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングルームこころの羽』のスタッフ小田です。
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うつ病体験記1
うつ病体験記2
うつ病体験記3
うつ病体験記4
最初のカウンセリングを受けた後も、私は葛藤していました。占いを受けに行って、「あなたが今苦しんでいるのは運勢上のものではなく、あなたの心の問題」と言われたり、日に日に思考能力が低下していく現状に焦りを感じて、夜中にインターネットでストレスチェックやうつ病チェックをしてみたり。中等度又は重度と結果が出ても、「自分の感じ方が大げさすぎるかもしれない」「まだまだ甘い。本当にうつ病の人は、朝も起き上がれないし家事もできないはずだ」と、この段階でもひたすら自分にムチを振るっていました。
そして、この頃から、右目の下だけがピクピクと痙攣するようになりました。これまでも疲れがたまってくると、このように片目の下が痙攣することがあり、珍しくはありませんでしたが、この症状はこの後1か月続きました。
上司とプロジェクトの進捗状況について打ち合わせをしていたある日、上司から「当初想定していた状況より進捗が思わしくない。君は部下に進行を任せて、総括的に関与してもらうつもりで考えていたが、直接動かしてもらわなければならないかもしれない」と言われたのです。確かに上司が言うとおり、私が直接関与した方が良い段階であることは私が一番感じていることでした。でも、それは、万全な私であればという条件付きのものであり、現状では困難でした。上司と話しながら、岡本さんから言われた言葉を思い出しました。
「ついに表面いっぱいまでたまってしまったのが今の状態です。表面張力状態の水を捨てることと、新たに入ってくる水をコップからそらすしか方法はありません。小田さんの上司に、小田さんの今の状況を話してみてはどうですか。」
今、まさに私のあふれそうなコップに、新しい水が入ってこようとしている。上司の話はもっともなことだけど、このオーダーを受けてしまえば、自分自身が持っている案件をこなすことができなくなって、結果的に迷惑をかけてしまうことになる。今ですら精一杯なのだ。今が上司に話すチャンスなのかもしれない。そう思った私は、勇気を出して上司にカウンセリングを受けたこと、近々クリニックにも行こうと思っていること、最近は考えがうまくまとまらずに以前よりも仕事の質やスピードが落ちていると感じていることを率直に話しました。
上司は驚きながら、「小田さんは、自分自身で求めているレベルが高すぎるから、そんな風に思っているだけで、問題に感じる点はないと思っている。でも、小田さんが悩んでいるのなら、私自身の小田さんに対する関わり方も考えたいと思う。プロジェクトには私も一緒に関わることにしたい。」と言ってくれました。
その日の日記にはこう書かれています。「心が少し楽になった。本当にできた上司だと思う。だからこそ、こんな自分で申し訳ないのだ。」
初回のカウンセリングでは泣き通しで、帰り際に急に恥ずかしくなって予約もできなかったけど、もう一度行って、この日のことを岡本さんに話してみようかなと思える出来事でした。
◆岡本から、ひと言コメント
初回のカウンセリングでお伝えしていたこととして「心の中にコップ(ストレスの許容範囲)がある」「そのコップに水(ストレス)が溜まってしまっている状態」とお伝えしたことを小田さんの日常で実感するタイミングが訪れた時のエピソードですね。
カウンセリングで言われたことは、その場では実感できなくても後から実感できることもあります。今回の小田さんは、そのパターンだったようです。
この変化が生まれたことは、担当カウンセラーとしては非常に嬉しい出来事でした。
もちろん、初回のカウンセリングで「スッキリ」していただき、問題解決することもありますが、小田さんのように長期間にわたって責任のあるポジションを務めていらっしゃる方の場合は、少しずつストレスの要因に「気付く」ことが大切になります。
焦らずに少しずつストレスの要因に気付き、一つずつ対処方法を見つけていく。
遠回りなようでも、これが一番の近道なのかも知れませんね。
『カウンセリングルームこころの羽』岡本教兵