こんにちは。札幌市にある『カウンセリングルームこころの羽』の岡本です。
前回、私のうつ病体験記の第一部・最終回として書かせていただきました。
が、
実際のところ「それは、岡本さんだから回復したんじゃない?」「偶然、回復できただけじゃない?」という声も聞こえてきそうですので、偶然ではないと私が考えている「根拠」の部分を今回は「番外編」としてご紹介してみようと思います。
これまでのエピソードはこちら↓
うつ病体験記〜岡本の場合①〜
うつ病体験記〜岡本の場合②〜
うつ病体験記〜岡本の場合③〜
うつ病体験記〜岡本の場合④〜
うつ病体験記〜岡本の場合⑤〜
うつ病体験記〜岡本の場合⑥〜
◆うつ状態の当時を今の“岡本”が振り返ると…
この私のエピソードは、アメリカの心理学者・アブラハム・H・マズローという方が提唱した「自己実現理論」に当てはめると変化した「理由」が見えてきます。
まず、私の場合、うつ状態に陥る「原因」になったのは、高校卒業という大きな環境の変化で自分の居場所に対する欲求「帰属欲求」が欠乏したことが引き金となりました。
「居場所」がなくなったのです。
それにより、「音楽で生活していく」という夢(「自己実現欲求」の段階)から大きく落ちていくことになります。
この落差はストレスの大きさと比例しますので、かなり大きなストレスがかかったものと想定できます。
さらに就職(仕事)が決まっていないことは、安全欲求にある「財産の維持」や「雇用の安全」も欠乏することになります。
それによって一番下の段階「生理的欲求」の段階まで意識が下がり、最終的に食欲や睡眠さえも不安定になる状況に陥ったのです。
◆気持ちが上向きになるきっかけ
ここまで低下した気持ちが上向きに変化したのは、一人で長時間歩いた際に「バス」に乗ったことで自分は色々な人に支えられていたことに気付いたことがきっかけでした。
さらにその間、自分が考えていたような「周囲からバカにされる」ような体験はしていなかったことも「安全の欲求」が満たされ始めるきっかけだったかもしれません。
また、私の場合、母は「否定」せず、ずっと心配してくれていたため、自宅にいるときには「生理的欲求」と「安全欲求」が確保されていたことも大きな土台になったと考えられます。
マズローが提唱した『自己実現理論(欲求の段階説、五段階欲求説)』の特徴は、下の欲求から順に満たされることで、上位の欲求へ気持ちが変化しやすくなる。というものです。
この状態で、友人と会うという「帰属欲求」を満たす行動に出ることができたのが、不幸中の幸いでした。
◆回復の流れが確立された“きっかけ”
友人との関係が「帰属欲求」を満たすと言っても、毎日一緒にいられるわけではありません。
だからこそ、友人と会ったあとにも「一気に回復」ではなく好調・不調の波を繰り返しながら徐々に回復していくことになります。
その回復の流れがある程度確立される“きっかけ”になったのは、やはりアルバイトの面接で合格したこと。
つまりは、働く場所=自分の居場所を手に入れることができたことが大きかったと感じます。
この結果として「帰属欲求」を日常的に満たすための土台が作られました。
◆症状が悪化する“きっかけ”
ここまでで『自己実現理論』でいうところの下から3つ目までの欲求を満たすことに成功しました。
ここまで来ると、気分の波は回復の方向へ大きく動き出します…が、ここで落とし穴が…。
職場の中で「自分が認めてもらえていない」と感じてしまうと、4つ目の欲求「尊敬、評価の欲求」が欠乏することになります。
私の場合は、比較的、早い時点で店長が認めてもらえる“きっかけ”を作ってくれたので良かったのですが、日常生活(一般的な環境)のなかで全てのタイミングを満たすことは難しい面もあります。
この段階のエピソード→うつ病体験記〜岡本の場合⑥〜
それこそが「うつ病」の回復が「難しい」と言われる理由であり、回復していった症状が悪化する“きっかけ”になるのだと思います。
◆すべての段階を適切に満たすためには…
これは、専門家(医師やカウンセラー)の知識を借りることが一番の近道だというのが正直なところです。
「自己流」で上手くいく場合もありますが、上手くいかなかった場合のリカバリーが非常に難しくなる可能性が考えられます。
もちろん、専門家の知識を借りたとしても相性やタイミングによっては上手くいかない場合もあります。
その場合でも、相性の良い病院やカウンセリングルームを探すことや言われた指示・アドバイスを取り入れてみることで好転する可能性は上がります。
とくに「生理的欲求」と「安全の欲求」は個人の努力でも満たすことはできますが(基本的には個人の努力でしか満たせない部分ですよね)、「帰属欲求」と「尊敬、評価の欲求」は一人では満たすことが難しい段階です。
このあたりの段階になるとその時の環境による要因が非常に重要になりますし、「生理的欲求」や「安全の欲求」も頭で「満たされている」と思っていても無意識レベルでは満たされていない…ということも起こりますので、「上手くいかない…」と感じた場合には、すぐにでもカウンセリングを利用してみることをオススメします。
この時、病院を選択することも選択肢の一つですが、ストレスが大きくかかった出来事が思い当たる場合には、カウンセリングの方をオススメしたいと思います。
その出来事への対処を考える場合は、医師よりもカウンセラーの方が専門分野としては当てはまるように感じます。
医師の担当範囲としては、「専門外」「担当範囲外」となる可能性がありますので、病院を選択する場合は、話をしっかり聴いてくれる医師がいるのかを確認してから通院するようにしましょう。
◆最後に…
振り返りも非常に長い文章になってしまいましたが、最後まで読んでいただき誠にありがとうございます。
「うつ病」は誰にでもなる可能性がある病気と言われています。
どんなに楽しい仕事や学校でも「ストレス」は無意識に溜まっていくもの。
ストレスとの上手い付き合い方や自分の心(欲求)のコントロール方法を身に着けて楽しい日常を過ごしていければ素敵ですよね。
そのためのサポートを担当させていただくのが私たちカウンセラーです。
一人で悩んで一人で努力をすることも素晴らしい考え方だと思いますが、避けられる「苦痛」は避けた方が自分の経験としてはプラスになりやすいと思いますので、抱え込みすぎず、「早めの相談」「早めの対処」を意識してみてくださいね。
今後も「ブログ」や「うつ病体験記」を定期的に更新していきますので、お時間があるときにでもご覧いただけると嬉しいです(^^)
『カウンセリングルームこころの羽・札幌本店』岡本教兵