こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングこころの羽・札幌本店』の岡本です。
『カウンセリングこころの羽』に在籍する心理カウンセラー自身の「うつ病体験」をもとに様々な角度から分析しつつご紹介するこのシリーズ。
「うつ病体験記〜中堅社員・岡本編」の第六話は、上司から与えられた「全体会議でのプレゼンテーション」の当日について書かせていただきます。
◆プレゼン直前の悪あがき
前回のエピソードでも書かせていただいた通り、プレゼンの準備をしたのは前日…。
それまでの私は「理想」や「完璧」を追い求めすぎて行動が起こせていなかったのですが、気持ち(考え)の整理がついて「やること」が明確になったことでようやく資料作成を開始することができました。
そこからは「時間との勝負」。
「どうあるべきか」ではなく、「今、何ができるか」を考えて手を動かしていかないと進まない状況…。
不思議とそれまでは忘れかけていた「集中力」も取り戻すことができ、少しずつ資料がカタチになっていきました。
資料作成が完了したのは、プレゼン当日の朝5時頃だったでしょうか…。
資料は作成できたものの印刷は会社に行ってから対応する必要があり、7:00には家を出ないと会議に間に合わない状況だったので、資料完成から2時間程度仮眠をとって、シャワーを浴びて出社…というスケジュールになりました。
◆おかしなテンションのプレゼン
印刷も何とか他の先輩や上司が出社する前に終わることができ、あとはプレゼンの時間を待つだけの状態になりました。
この時点で不安や緊張は、睡眠不足からくる「おかしなテンション」で麻痺していて、その勢いで自分よりも年上の管理職クラスの方々が数十人いるなかでプレゼンテーションがはじまりました。
今、振り返ってみても「ジャ〇ネットた〇た」初期のセールスマンのようなテンションで、声が裏返りながらも必死に商品紹介を行っていきました(苦笑)
そのときは必死だったので恥ずかしさはありませんでしたが、当時の自分の性格から考えると周囲の先輩が戸惑ったであろうことは簡単に予測できます(笑)
◆絶妙なタイミングでの「承認」
プレゼンの時間を終え、出張中の直属の上司の代わりに以前の部署での元上司が面談をしてくれました。
プレゼンの内容自体は自分が思い描いていた「理想」や「完璧」からはほど遠かったものの、元上司が言ってくれたひと言は「よく頑張ったね」でした。
その言葉を聞いた瞬間に緊張の糸が切れてしまい号泣。
このときのことは今でも鮮明に記憶しています。
この体験から少しずつ周囲の先輩や上司のことを信じてみようという気持ちが湧くようになっていき、自然と気持ちが安定しやすくなったと感じます。
その後も私の未熟さ故のトラブルが続くことになるのですが…。
◆今の岡本が振り返ると…
このブログのなかでも度々登場している『自己実現理論』にあてはめてみると意外な自分の気持ちに気付きます。
実は、今回のエピソードをブログに書くまでは、元上司からの「よく頑張ったね」という言葉は、「承認」=「尊敬、評価の欲求」を満たす言葉だと思い込んでいたのですが、当時の自分自身の心理状態を振り返ってみると実は「安全の欲求」を満たすひと言になっていたのではないかと考えることができます。
これは、このプレゼンという出来事以降の自分の心理的な傾向にも表れていると感じます。
例えば、「尊敬、評価の欲求」が上司からの承認によって満たされた場合には、次の段階の「自己実現の欲求」が表れやすくなり、問題解決や目標設定などについて意欲がわきやすくなる可能性が考えられます。
しかしながら、当時の私は目標を持つというよりも日々を必死に生き抜く…という感覚が強く、とても「自己実現の欲求」の段階になっていると考えることはできません。
その一方で周囲に対して相談することや話しかけることへの抵抗が少し和らいだことから「社会的欲求/帰属欲求」が高まったと考えることができるのです。
このように自己実現理論にあてはめて考えてみると人の気持ちは一気に変化するのではなく、一段階ずつ、少しずつ変化していくことがわかりますね(^^)
実際にこの頃の私は、「うつ状態」になっていたので、回復するまでには少し時間がかかりました…。
そのあたりのエピソードは、また次回以降にご紹介させていただきます(^^)
『カウンセリングこころの羽・札幌本店』岡本教兵