うつ病体験記〜中堅社員・岡本編⑤ 逃げることはいつでもできる。それなら…〜 | 札幌のカウンセリング こころの羽

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うつ病体験記〜中堅社員・岡本編⑤ 逃げることはいつでもできる。それなら…〜

こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングこころの羽・札幌本店』の岡本です。

『カウンセリングこころの羽』に在籍する心理カウンセラー自身の「うつ病体験」をもとに様々な角度から分析しつつご紹介するこのシリーズ。

「うつ病体験記〜中堅社員・岡本編」の第五話は、上司から与えられた「全体会議でのプレゼンテーション」というピンチを乗り切ったときのことについて書かせていただこうと思います。

覚悟を決めた男性-都市

◆“覚悟”というほどカッコイイものではなかった行動の動機は…

前回(第四話を読む→)のエピソードでは、プレゼン前日に当時の元妻(私はバツイチですので…汗)がサポートしてくれたときのことをご紹介させていただきました。

私の整理がつかない頭のなかを丁寧に話を聴くことで少しずつ整理できるようにサポートしてくれたその対応は、まさに今現在の私が仕事にさせていただいている心理カウンセラーの役割のようでした。
元妻は、心理カウンセラーでもなければ心理療法を学んでいたわけではないのですが、恐らく大学時代などの勉強で仕事の「計画」の立て方などを学んでいたのかな?と感じるような情報整理の進め方でした。

そのサポートのおかげで「プレゼンへ挑戦する覚悟ができた」などと書けばカッコイイ成功体験なのかもしれませんが、実際には親身になって話を聴いてくれる元妻からの質問に答えていくと自分自身のなかでの「逃げられる理由」がなくなってしまって渋々「何とかしてみよう」と行動を開始したというのが最初の段階における私の気持ちでした(笑)

もちろん、理詰めで「逃げ場をなくされた」というわけではないのですが、元妻に話をしているうちに「自己矛盾」に気付いてしまったんですよね(苦笑)

当時の私の場合、「プレゼンの準備ができない」のではなく、「これまでプレゼンの準備ができなかった理由(言い訳)」を探していたり、「すでに間に合わないにもかかわらず理想を求めている状態」になっていたので、実際にできることがあってもそこには目が行かない状態だったのだと思います。

それが、話をしているうちに次のような気持ちに変化していったのだと今、振り返ってみると気付きます。

「これまでプレゼンの準備ができなかった理由(言い訳)探し」→元妻は責めないし、怒らないし、軽蔑もしないので、言い訳する必要がなくなってしまった。

「すでに間に合わないにもかかわらず理想を求めている状態」→今できることとできないことを全部聞き出してくれたうえで「今できること」に集中することを提案してくれたので、「今できること」と自分で言ってしまった手前、実行せざるを得なくなった。

もちろん、今現在の私が心理カウンセラーとしてご相談者さまをサポートする場合に「逃げ場をなくす」ような話の進め方にすることはないように気を付けていますが、元妻は心理カウンセラーではなかったので、なかなか逃げ場がない状態になってしまったことは今の自分にとっては「結構しんどかったな(笑)」と良い思い出にはなっています。

それでも、そのおかげで「今できることをやるしかない」という気持ちになり、実際にパソコンを立ち上げて資料の準備をスタートしたのです。

「やってみてダメなら、その時逃げればいいか…」という気持ちも残したまま…(苦笑)

パソコンのエンターキー-行動を起こすこと

◆悩んだときでも実際に行動をしてみると…

一人で悩んで頭のなかでグルグルと考えていたときには、現実の作業としては何も進んでいなかったのですが、元妻との話で考えが整理された後には不思議と作業がはかどったことを今でも覚えています。

「あとは時間との勝負」

そう思える状態になるまでには1時間もかかりませんでした。

プレゼンの前日夜…話が終わったのは確か22:00過ぎの段階だったと思いますので、そこから数十ページの資料をまとめてプレゼンで話す内容も考えることはかなり厳しい条件だったと思います。

それでも「やるべきこと」や「やった方が良いこと」ではなく「やること」や「できること」が明確になっていたので、あとは手を動かす、頭を動かすというシンプルな考え方をできていたのです。

この状態は非常に集中力も高く、気分は夏休み最終日に宿題を「埋める」ことに集中していたときの感覚に近かったと思います(笑)

今になってもそうですが、私の人生を振り返ってみると締め切りギリギリに「ここぞ」という集中力を発揮して何とか終わらせる…という流れが染みついてしまっていると感じます。

ここ数年だと様々な心理的なアプローチ方法やモチベーションコントロールを学んで、ずいぶんスケジュール管理は上手になった方だとは思いますが…それでもご相談者さまに迷惑がかからない範囲の仕事は未だにギリギリかもしれません(^^;

この締め切り間際の状態から、プレゼン当日にはどのようになったのか…

この続きは次回のブログで書かせていただこうと思います…。

(次回へつづく…)

分析している人の指-出来事の振り返り

◆今の岡本が振り返ると…

心理カウンセリングでは、本人が「悪い習慣」だと思っているものだとしてもその習慣が身についている背景には「何らかの成功体験がある」という視点で考えることがあります。

今回の私の「締め切りギリギリ」という習慣についても前述させていただいた通り、学生時代の「宿題」でも同じような行動をとっていたのです。

もちろん、学生時代には学生時代で「後悔」や「反省」もしていたのですが、その気持ちは長続きせず、次の夏休みや冬休みでは前半で思い切り遊び(私の場合、主にゲームでしたが…汗)、最後の1週間で焦って「何とか終わらせる」という行動をとってしまいがちでした。

この状況も冷静に振り返ってみると「ギリギリ」ではあるものの、一応は「間に合っている」のです。

これが、潜在意識(無意識)のレベルでは「成功体験」となって印象に残ることになります。

もっと楽な進め方があるということは頭ではわかっているはずなのに、実際に別の方法での「成功体験」をしていないため、いざ「次の夏休み(冬休み)」になったときにも実際の「成功体験」につながった方の行動を優先してしまうことになるのです…。

これが、「人が変わることが難しい」理由の一つであり、心理カウンセリングにおけるご相談者さまと心理カウンセラーが二人三脚で取り組んでいく「課題」の一つとなります。

具体的な内容については、十人十色、人それぞれで大きく異なりますので一概には言えませんが、共通する流れとしては、「大きな変化」(重要なテーマでの問題解決、課題克服)を生み出す前に「少しの負担で実現可能な小さな成功体験(小さな変化)」を体験してもらう。

そのためのヒントを心理カウンセラーがお伝えして、ご相談者さまに実行していただく…という流れになることが多いのです。

何かを変化させようと思ったときに「大きな課題」から手をつけてしまうと途中で挫折してしまう可能性も高くなります。

まずは「小さな課題」を見つけて、それに取り組むことで「成功体験」を積み重ねていくことが遠回りなようでも一番の近道かもしれませんね(^^)

あなたにとっての「小さな課題」は、どんなものでしょうか?

『カウンセリングこころの羽・札幌本店』岡本教兵

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