うつ病体験記~岡本の父の場合②・引越…そして…~ | 札幌のカウンセリング こころの羽

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うつ病体験記~岡本の父の場合②・引越…そして…~

こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングこころの羽・札幌本店』の岡本です。

前回から「うつ病体験記」の新シリーズとして、私の「父」のうつ病体験エピソードをご紹介させていただいています。

前置きを含めるとかなり長くなってしまうと思いますので、ある程度読みやすい文量に区切りながら、不定期ですが公開させていただこうと思いますので、「うつ病」を悪化させないためのヒントや家族としての在り方のヒントとしてご一読いただけると嬉しいです。

前回の内容はコチラ

ビルの立ち並ぶ街-バブル経済

◆「家を建てる」決断の土台になったもの

これは、当時の私には理解できなかった“親の気持ち”や“親の状況”を今現在の私が振り返って“予測”したものですが…

私の両親が「新築一戸建て」を夢見た背景には、「バブル経済」の存在は切っても切れないものです。

この「バブル経済(バブル景気)」は、1986年から1991年にかけて起こった資産価値の上昇と好景気です。

この特殊な景気傾向は、バブル崩壊と呼ばれる1991年から1993年までの景気後退期により落ち着いていったようですが、実家の新築タイミングは、1993年の出来事だったのです。

厳密にいうと…恐らく景気が好調な1990年頃から計画を始め、バブル崩壊が話題になった時点でも父の仕事への影響が実感できるほどではなかったはずです。

それどころか、近所の友人家族(今で言うところの「ママ友」)たちが2家族立て続けに新築一戸建てへ引っ越したタイミングの直後だったため「次はうちの家族も!」という心理(専門的にいうと「社会的証明の原理」)が働いていたものとも予測できます。

バブル崩壊が話題になっているけれど、勤務先の業績もまだまだ安定しているし、周囲の友人も同じような決断をしているから、「問題ない」と考えたのではないかと感じます。

個性に悩むウサギ

◆実家の新築、引越で変化したもの

引越の準備期間の家族は、幸せムードが全開の状態でした。

週末になるたびに新たな家具や家電を探し…学校が終わって帰宅すると引越準備で部屋の荷物をまとめたり、片付けをしたり。

そして、建築を終えてからは、引越費用を節約するため細かなものは母と姉と私の3人で徒歩で新居へ荷物を運ぶような機会が増えていきました。

これは、元々、「楽しい思い出」でしたが、その後に経験する実家の苦労を知っている今となっては非常に複雑な心境で振り返ってしまう「苦い思い出」に感じます。

そのような日々の後、「引越」を完了し、新居での生活がスタートした矢先…。

父が勤める会社の業績が不安定となり、父の「出張」が多くなっていくのです。

最初のうちは月に1回、1週間程度の「出張」だったと思いますが、それが月に2回になり…1ヶ月ほど「出張」した後、数週間、札幌に帰ってくる頻度になり…

最終的には「単身赴任」へと変化していきました。

これは、勤務先の売上を札幌市内のみで補うことが難しい状況になったことの表れであり、「バブル崩壊」の本当の意味での影響が生活に表れていくことの「はじまり」だったのです。

(次回へつづく…)

カウンセリングルームの選び方

◆今の岡本が振り返ると…

“結末”を知っている今になって振り返ると、「新築」ではなく「賃貸の戸建てへの引越」や「分譲マンション」という選択肢もあったのでは…?と考えてしまうというのが正直なところですが、当時の両親には「新築一戸建て」が「目標の達成」であり「自己実現」の方法だったのだろうと感じます。

しかしながら、この決断こそが「父」を孤独な環境へと導いてしまう「きっかけ」であったことは間違いありませんし、父を失った後に母や私にとっても「後悔」になったことは事実です。

「家」というものは、人によっては非常に「重要」な意味を持つものだと思います。

ただ、私の経験や価値観から考えると、あくまで「手段」であって「目的」ではないのだとも思うのです。

私自身も現在は、ありがたいことに一戸建てに住ませてもらっていますが、勤務先の都合や事情で勤務地が変化する「サラリーマン」時代に一戸建てに住むことは考えていませんでしたし、自分自身で仕事の進め方を決めることができる「経営者」という立場を担当させてもらっている今でも「いざとなれば手放すこと」も視野に入れた状態で新築をしました。

心理学の視点から考えても人には「安心できる場所」は必要です。

ただし、時代の流れや家庭環境の変化、仕事の変化によって「安心できる場所」もまた変化していくという視点を忘れてはいけないのかもしれませんね。

次回は、「バブル崩壊」からの「単身赴任」によって、父と家族の関係がどのように変化していったのかを書かせていただこうと思います。

『カウンセリングこころの羽・札幌本店』岡本教兵

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