こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングこころの羽・札幌本店』の岡本です。
前回の公開から少し期間が空いてしまいましたが、私や私の家族が体験した「父のうつ病」へのサポートを書かせていただいている「うつ病体験記~岡本の父の場合編~」。
今回は、いよいよ心療内科へ通院することになったエピソードをご紹介させていただきます。
◆うつ病の相談をできる場所は?
最近の札幌では、私たち『カウンセリングこころの羽』も含むカウンセリングルームが増えていますが、数年前には現在よりも少なく…そもそも、うつ病の相談場所としてカウンセリングルームが選択肢にあがること自体が少なかったように思います。
そうなると「精神科病院」か「心療内科」か…。
私たち家族には二つの選択肢しかありませんでした。
今振り返ってみると「カウンセリング」を選択肢に出来なかったことは致命的なミスだったのかもしれません。
しかしながら、当時は心理カウンセリングのことも詳しく分かっておらず、インターネットで「心療内科」「うつ病」と調べていったなかで見つけた「心療内科」へ行ってみることになりました。
その病院を選んだ理由は2つ…札幌市中央区にあり、立地が良かったこと。
薬に頼らない治療をうたっており、「薬を飲むのは嫌だ」という父の意向と一致したことでした。
◆心療内科は、本当にうつ病を治療してくれるところなのか?
心療内科へ何度か通院するうち徐々に「病院」というものに疑問を持つようになります。
前述のとおり、私の父が通院していた心療内科は、インターネット上で検索して見つけた「薬による治療を極力しない心療内科」でした。
実際に利用してみると…確かに薬の処方については提案して来ない…。
そして、「ご家族の方が読んでください」とA4の印刷物数十枚を渡され、30分ほどかけて読み終えた後、診察室へ再び案内され母が「どうしたらいいのでしょうか?」と質問すると「先ほど渡した文章の中に書いてあります」とだけ返答…。
困惑しながらも、他の心療内科への相談は「薬の処方」が行われるだろう…ということで、父の意思を尊重して、月に1~2回通院しながらうつ病の回復を信じていました。
その結果…父の自殺。
後で毎回付き添いをしていた母に聞いたところ、心療内科の医師から「母の実家への経済的な援助の依頼」か「母(妻)との離婚」を提案され、どちらもできないと答えると「じゃあ、私はあなたに何も支援はできません。」と言われていたとのことでした。
そのことが父にとってどのような捉えかたになったのかは今では確認のしようがありませんが、このやりとりの後、それまで頻繁に出ていた「死にたい」という言葉が父から出なくなった状況から、父の「自死」に対する決意が固まってしまった出来事だったのではないかと悔やんでも悔やみきれません。
「うつ病」という症状に対する知識があるのは、医師免許という仕組み上、間違いないのだとは思いますが、すべての患者の治療ができるのかというとこれは現実的に不可能なのだと思います。
だからこそ、自分自身と“相性”の良い担当医を見つけることこそが「うつ病」や「うつ状態」を回復させるために大切な第一歩になるのではないでしょうか。
◆今の岡本が振り返ると…
このブログを読んでいただいた方にご安心いただきたいのは、私の父が通院していた「心療内科」は現在は閉院しているという点です。
現在、心理カウンセラーとしてのお仕事をさせていただいているからこそ感じることとして患者さんやご相談者さまにとって担当する「心理職」の人間は非常に重要な意味を持ちます。
ご相談者さまの「人生」に関わらせていただくからには中途半端な気持ちでは勤まらないと考えていますし、知識や技術の面でも自己研鑽は常に怠らないように意識しております。
実際に『カウンセリングこころの羽』では、在籍カウンセラー内でもそれぞれ個別での勉強や全体での勉強会などをプロとして活動している合間を見つけながら継続しています。
時代が常に変化し続けるからこそ、心理職としての勉強に終わりはないのです。
その一方でご相談者さまと心理職(心理カウンセラーや心療内科医師など)との“相性”は非常に重要です。
どれほど経験が豊富な心理士・心理カウンセラーであっても、ご相談者さまとの相性が悪ければ残念ながらお力になれないこともあるのが事実です。
そういった意味では、私の家族が通院した診療内科の医師も優秀な方だったのかもしれません。
そして、父との相性が悪かっただけなのかもしれません。
そのうえで私たち家族が選択するべきことは「セカンドオピニオン」や「心理カウンセリング」だったのではないか…と今でも後悔が残っているというのが正直な気持ちです。
心療内科や精神科病院もカウンセリングルームも、「あれ?なんか違うかも?」と感じた場合には、遠慮なく別の場所を利用してみることが大切だと思います。
そして、「やっぱりあそこが良かった」と感じた場合にも遠慮なく戻ってみることが「うつ病」や「うつ状態」から回復していくための一番の近道なのかもしれませんね。
『カウンセリングこころの羽・札幌本店』岡本教兵