こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングルームこころの羽』の岡本です。
私は、現在、プライベートでは3歳の長女と1歳の長男の子育て真っ只中なのですが、子供達と接するときに心理学の理論を当てはめてみると面白い発見があります。
(もちろん、常に分析しているわけではありませんが…笑)
心理学では人のパーソナリティー(個性)は、4つの段階に分かれているという考え方があります。
◆気質
一番中心にあるのが、『気質』と呼ばれるもの。
これは、生まれながらにしてもっている傾向性。その人の性格の根本的な部分です。
『本質』という言葉に置き換えることもできるかもしれませんね。
気質は、生まれながらにして持っているものなので、変化することはありません。
赤ちゃんでも大人しい子もいれば、活発な子もいます。
ミルクをよく飲む子もいれば、ミルクを飲む量が少ない子もいます。
これらの違いは、誰かから教わったわけでは無く、生まれながらにして持っている部分です。
◆気性
次に『気性』と呼ばれるものがあります。
これは、「気性が荒い」などという表現で耳にしたことがあるかもしれませんね。
この気性は、気質とは違い常に変化していく部分です。
生まれ育った環境や経験、体験の中から身についた“価値観”などが気性の土台になっています。
長い期間かけて身についた、その方の傾向性と言えるものです。
カウンセリングで相談者さまから「性格を変えたい」と相談を受ける場合は、気質と気性の両方をあわせて指していることが多いのですが、
ここで重要な考え方になるのが
『気質』は変えられないもの
そして
『気性』は変えられるが、時間がかかる
ということです。
気性は長い期間かかって身についたものなので、単純計算すると身につくのにかかったのと同じ期間かかってしまう可能性があるのです。
もちろん、身につくまでにかかった期間よりも短期間で身につけようと思う場合、「強い刺激」(衝撃的な体験、強く印象に残る体験)を受けることで上手くいく場合もあります。
ただし、逆にトラウマになってしまう可能性もあります。
「性格を変える」という考え方には、こういったリスクがあることを把握しておく必要があるのかもしれません。
・・・と、ここまでの話しで終わってしまうと「性格を変えられないのか…じゃあ、自分はもうダメだ…」と考えてしまう方もいらっしゃるかも知れませんが、そう考えるのはまだ早いのです(^^)
◆習慣
上の図を見ていただくと分かるとおり、気性の周りに『習慣』があります。
つまりは、その方の『習慣』自体が個性であり、周囲から見ると“性格”に見えている部分なのです。
例えば、サラリーマンのAさんは、朝が苦手で会社に到着するのは、いつも始業時間の直前、1~3分前だったとします。
これは、Aさんの夜の過ごし方や朝早く起きるための“習慣”がないことが要因です。
でも、周囲からは、「Aさんは、だらしない性格」「Aさんは、いつも遅刻ギリギリ。だから期限も守れない性格だ」などと見えているかも知れません。
習慣、つまりは、その人の日常的な行動の傾向も「性格の一つ」として見られる要因なのです。
このように考えると「性格を変える」は、習慣を変えることで今日からでも変えることができるとも言えますよね(^^)
◆社会的役割
もう一つの重要なポイントが、『社会的役割』です。
例えば、仕事をしているときのB部長は、「すごく厳しい人」=「人に厳しい性格」だと周囲から見られているかも知れません。
でも、プライベートでは、「孫を可愛がる優しいおじいちゃん」=「優しい人」だとしたらどうでしょう?
B部長は、仕事における“部長”という役割では“厳しい人”と思われますが、プライベートでの“祖父”という役割では、“優しい人”だと思われるわけです。
このように人の性格というのは、一見すると“一つ”だと思われてしまいますが、実際には様々な要因の集合体と表現することができます。
カウンセリングでは、これらの要因をお話を伺う中で分解、分析してストレスの要因になっているのが気質なのか、気性なのか、習慣なのか、社会的役割なのかという視点を持ちながら整理していくのです。
そうすると「私は性格が悪いから、性格を直さないと」と思っている悩みが、実は「生活習慣の変化が解決策だった」なんてことになる場合もあるのです。
このような視点で考えていくと人の性格や個性も違った視点で見ることができそうですよね(^^)
そして、冒頭の子育ての話しに戻しますが…
3歳の長女と1歳の長男と接していると、気質(男女の違い、本人の生まれながらの性格の違いなど)なのか気性(姉弟の関係性の違い、環境…知育玩具の量の違いなど)なのか、同じ親に育てられているのにまったく性格が違うなぁ…と日々感じるのです。
「人の心は、すごく面白いなぁ」と楽しみながら子供たちと関わっています(^^)
子供が育つ環境は、その人の性格を築いていくうえで非常に重要です。
親にとっては、「何気ないひと言」でも、子供にとっては、一生引きずるような“足かせ”になってしまうこともあります。
もちろん、意識し過ぎる必要はありませんが、その瞬間その瞬間で子供の将来、子供の未来を想って向き合っていくこと、子供を自分の所有物のように考えるのでは無く、“一個人”“一人の人間”として尊敬と尊重の姿勢で向き合うことが大切なのかもしれませんね。
『カウンセリングルームこころの羽』岡本教兵