こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングこころの羽・札幌本店』の岡本です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が広がってからというもの、スマホを使った情報収集がすっかり日課になってしまいました…(汗)
これも「目の疲れ」という「身体的ストレス」を増やして「不安」という「心理的ストレス」を増やす行動だよな…(苦笑)
などと自己分析しつつ…それでも続けてしまうところにもコロナ影響の大きさを実感する日々です…。
そんな中で社会のなかで「リーダー」と呼ばれるような経営者、管理職、ビジネスマン向けの記事かな?と思える記事を見つけて読んでみましたが…
「こんな時だからこそ、しっかり勉強するべき」という強めのメッセージが…
心理カウンセリングの視点で考えると「良い前向きさ」と「悪い前向きさ」があるな…などと感じましたので、今回のブログではそのことをテーマに書かせていただこうと思います。
「前向きにならなきゃ」とプレッシャーを感じている方にとって何かのヒントにしていただけると嬉しいです(^^)
◆考えていませんか?前向きな人は“偉い”“正しい”と…
これは、もちろん「本当は悪いことですよ」などという批判的な話をしたいわけではありません。
頑張っている方は、確かに凄いと思います。
その一方で、他人の「凄さ」を自分に照らし合わせて自分を否定的にとらえていませんか?ということが今回のブログの隠れたテーマになります。
例えば「前向きな性格の人」を見かけたときに「凄いな」「素晴らしいな」と相手を褒めるかたちで刺激を受けることは悪いことではないと思います。
ただし、それと同時に「やっぱり自分はダメなんだ」「後ろ向きな性格ならうまくいくわけがない」などと自分を否定して落とすような考え方をしていくと知らず知らずのうちに「ストレス」を感じていくことになります。
冒頭の「こんな時だからこそ、しっかり勉強するべき」という価値観で考えると…
勉強をしっかりしている人は偉いし、凄いと考えるところまではOKです。
ただし、「勉強していない自分はダメなんだ」「勉強していないから上手くいかないんだ」と考えてしまうのであれば危険信号ということになります。
もちろん、勉強はしないよりもした方が自分の力になることは事実かもしれませんし、努力はしないよりもした方が自分の成長につながるものだとは思います。
これが、「◯◯したい」「◯◯しよう」という考えで行動する分には、自分にとって能力的にも心理的にもプラスになる可能性は上がりますが、「◯◯しなきゃ」「◯◯するべき」という考え方で行動するとやったことの質は低下してしまうかもしれません。
ストレスを溜めないためにも「人は人」「自分は自分」自分にとって必要だと感じたことは行動する。
他の人がやっていても自分にとって必要ないと感じたことは行動しないという区別が大切ではないでしょうか?
(もちろん、「コロナの予防は自分には必要ない」という考え方はやめておきましょうね…それは、別の話です…。)
◆もっと不幸な人がいるから、自分はもっと頑張らないと…という考え方
「幸せ」「不幸せ」というのは、本来、人それぞれの価値観によって決まるものです。
社会的に一定の価値観(正解)が存在していて、◯◯点以上だったら優れている。
◯◯点以下だったら劣っているというルールがあるわけではありません。
そのルールを感じている(決めている)のは、実はあなた自身なのかもしれません…。
もちろん、他者に迷惑をかけないためのルールとして「法律」というものは世の中に存在しています。
しかしながら、「法律」は、違反した人を罰することにより違反を未然に防ぐことが本来の目的であって、世の中の人々を「評価」するためのルールではないはずです。
それが、ふと気がつくと「世の中には目には見えないルールがあって、それを間違えると人としての評価が下がる」という先入観を人生のなかですり込まれている方がすごく多いのではないか…という気持ちになることがあります。
人に迷惑をかけてしまうことを「良し」とは思いませんが、実際の「現実」を極端に歪めてしまい自分や身近な人に負荷をかけ過ぎないように注意が必要です。
2015年にテレビで放送していた『Dr.倫太郎』で堺雅人さんが演じる精神科医「日野倫太郎」が言う「頑張らないでください」という言葉が今でも印象に残っていますが、人は「常に頑張る」には負担が大きすぎるのかもしれません。
「継続的に頑張る」ためには「しっかり休むこと」も必要なのだと思います。
とくに、最近の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響は、普段、頑張っている人ほど負担が増加していると思いますので、「頑張り過ぎ」にならないように力を抜くための時間も大切にしてみてくださいね。
とくに経営者や個人事業主の方などは、生活のために頑張らなきゃいけないときがあるのも重々承知しておりますが、頑張り過ぎてオーバーヒートしてしまうと結果として取り返しがつかない場合もあると思いますので、「無理」をし過ぎる状況には気をつけましょう…。
◆心理カウンセリングの視点で考える“効果的な前向きさ”とは…
このように考えていくと世間一般で黙認されている「前向きさ」というものには、ある種の偏りがあるように感じてくるかもしれません。
本来、「前向き」「ポジティブ(ポジティヴ)」であるということは、考え方のパターンであって、その人の評価ではないのではないでしょうか。
「後ろ向き」「ネガティブ(ネガティヴ)」だとしても素晴らしい人たちは沢山います。
「どう考えるか」よりも「何をするか」が大切だと思うのです。
そして、「行動」を起こすためのエネルギーは、「義務感」や「責任感」から生まれるわけではなく、きちんとした理論、理屈があることを見落としてはいけません。
アメリカの心理学者アブラハム.H.マズロー氏によると人の心には「欲求」(何かを求める気持ち)があり、その欲求は5つの段階に分かれていると考えることができます。
これは、『自己実現理論』と呼ばれ、医療や教育、心理カウンセリングの現場でも広く活用される考え方となっています。
この理論に今回のテーマを当てはめてみると…
「こんな時だからこそ、しっかり勉強するべき」という考え方を素直に受け入れることができて、実際に行動や気持ちがついてくる方は、生理的欲求〜尊敬、評価の欲求までのすべてが満たされる条件が揃っている必要があります。
つまり「自己実現の欲求」に気持ちが上がっているときであれば、少ない心理的負担で実際の行動を起こすことができるということです。
その一方で、今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響は、「生理的欲求」や「安全の欲求」はもちろんのこと「帰属欲求」や「尊敬、評価の欲求」までもが欠乏する可能性のある非常に厳しい状況だということを知っておく必要があります。
確かに、どんなときでも「前向きに」「努力し続けられる人」は素晴らしいと思いますし、組織や社会のリーダーにふさわしい人物かもしれません。
しかしながら、その気持ちと行動を継続するためには、健康、経済、仲間、承認など様々な土台が必要だということを忘れてはいけません。
そして、逆に言うと…
今現在、「やる気」が起きないな…と感じる方は、自分自身の「欲求」がしっかり満たされているのか確かめてみてください。
どこか1つでも欠けているのであれば、「やる気」を起こそうとする前に欠けている欲求を補うことが自然と(負担が少ない流れで)「やる気」を引き出すことができるはずです。
今回のブログでは、少し硬い考え方が中心になってしまったかもしれませんが…(汗)
大切なことは、自分自身や自分の価値観に合わない人を否定するのではなく、「今の自分にできること」を精一杯やることなのだと思います。
それが「自宅にいること」でも良いのだと思います。
今は日本国民が一丸となって目に見えない敵に打ち勝つときです。
心が弱っているときには支え合いながら、健康も経済も“バランス”を大切に進んでいくことが大切なのではないでしょうか。
私も世の中の流れをしっかりと見つめながら、自分自身にできる精一杯の行動をしていきます。
あなたにとっての“精一杯の行動”は、どんなことですか?
『カウンセリングこころの羽・札幌本店』岡本教兵