【うつギフ】新聞は読まないことにした | 札幌のカウンセリング こころの羽

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【うつギフ】新聞は読まないことにした

こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングこころの羽』のスタッフ小田です。

唐突ですが、みなさんは、自宅で新聞を取っていますか?
最近は、インターネットで無料ニュースが配信されているので、自宅に新聞を配達してもらう、いわゆる「月ぎめ」での購読契約が少なくなってきたそうです。

私は、昔から新聞を読むのが好きで、転勤した先では地方紙を取って、地元ならではの話題、イベント情報、お店情報などを食い入るようにチェックしていました。
基本的には北海道新聞派で、夕刊の「はいはい道新」コーナーで繰り広げられる、クレーム、ほっこりした話などを読みながら、世の中の人が何に怒りを感じるのか、どんないい話があるのかを色々と(心の中で)ツッコミを入れながら読むのが楽しみでした。

時々、道新から読売新聞に変えることもあったのですが、一番の楽しみは「人生案内」という、読者の相談を回答者がアドバイスする人生相談コーナーです。

『洗濯乾燥機を拒む母』
『婚約破棄 正しかったのか』
『毎日、ゲームだけしていたい』

最近掲載された人生案内のタイトルです。
何かグッとくるものがありますし、私のツッコミ心も刺激されます。

大胆に切り込んだアドバイス、柔らかくも現実的なアドバイスなど、回答者の持ち味によって様々な回答があります。私も相談内容を読んで、自分なりのアドバイスを想定した後、回答者のアドバイスを読むのですが、「そうきたかぁ〜。切り込んだー。」「まとまってるし、もれがない。さすが…。」といずれも感心することが多いのです。

このように、私にとっての新聞は、情報ツールとしてだけでなく、自分の想像力をも刺激する、なくてはならない存在でした。
うつになるまでは…。

新聞ー記事をチェックする

◆うつになったら新聞がつらかった

私が休職する直前に担当していた仕事は、広報と社内文書を審査する部署の責任者でした。出社して一番最初に行う仕事は、全国紙と地方紙をチェックし、社に関係する記事、これから関係するであろう情勢を示すものなどを、赤ペン片手に素早くチェックすることでした。
私が取材対応の窓口でもあったので、私と新聞は、公私ともに切り離せない存在だったのです。

うつ症状には、実に様々なものがありますが、脳が赤ちゃんのようになった私には、音、匂い、情報など全てが刺激的に感じるようになりました。
当たり前のようにできていたことができなくなり、就職して一人暮らしを始めて以来、習慣だった新聞を読むという行為もつらくなったのです。

①新聞を取りに行くために、新聞受けまで取りに行く気力がわかない。
②新聞を取りに行った後、開く気にならない。
③新聞を開いた後、何を読んだらいいかわからない。
④記事を読むのに時間がかかり、文字を追っているだけの気持ちになる。
⑤①〜④のハードルを乗り越えて読んだにもかかわらず、理解できない自分に愕然とする。

このような悪循環を繰り返しながら、休職中も「他に何もしていないんだから、新聞だけは何としてでも読まないとダメになってしまう。」という呪いに縛られ、歯を食いしばりながら新聞を取り続けました。

記事が全く読めない日が続くと、「まずは、新聞紙とチラシを分けて、チラシのうち、自分に関係しそうな興味があるチラシとそうでないチラシをより分けてみよう」という、何かの訓練のような頑張り癖も発揮していました。

全く手付かずのままの新聞紙を束ねる虚しさを考えると、まるで逆内職のような、新聞からチラシを外す作業でさえも、自分を支える『何か』だったのです。

チラシーうつの時にできること

◆それからどうなったの?

うつの波に溺れそうになりながらも、うつ中級サーファーに昇格した頃の私は、ある日突然思います。

今、新聞を読むことって私に必要?
収入も半減している中で、誰のために、何のために苦痛をこらえて新聞を取っているの?
休んでいるんだし、テレビも見れるようになったんだから、テレビで情報取ればいいよね。
そもそも、今、私に必要な情報って何?
今日死なずに、明日も生き続ける以外に必要なことってある?
決めた!
新聞は、「今は」「あえて」読まないことにするか。
10年後はわかんないけどね。

私が、『新聞を読まないといけない呪い』からやっと解けた時、闘病から一年を経過していました。

『カウンセリングこころの羽・札幌本店』小田真実

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