【うつギフ】渡るのが不安~横断歩道~ | 札幌のカウンセリング こころの羽

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うつ病体験記depression story

【うつギフ】渡るのが不安~横断歩道~


こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングこころの羽』のスタッフ小田です。

私は、闘病中に「これまで当たり前にできたことが、できなくなった」と思うことがいくつもありました。最初のうちは、そのたびにショックを受けたり、「こんなこともできないのか」とがっかりすることの繰り返しでした。

現在も、うつ病の発生原因が全て解明されているとは言えませんが、『脳で働く神経の伝達物質の働きが悪くなると同時に、ストレス、体の病気、環境の変化など、さまざまな要因が重なって発病する』と考えられています。
ストレスが発生原因になることは、広く知られていると思いますが、「脳で働く神経の伝達物質の働きが悪くなる」ことは、あまり知られていないように思います。

私も、うつ病は心の症状がメインで、自分がこれまでに経験したことがあるひどい落ち込み(うつ症状)を大きくしたイメージだったのですが、実際に経験してみると、脳の働きが上手くいかないがゆえに、落ち込みも不安も大きくなるという表現が近いのかなと思います。

今日は、この脳の働きについて実感したエピソードをご紹介します。
横断歩道-うつで判断力低下

◆渡るタイミングがわからない

みなさんは、横断歩道を渡る時に、何を合図に渡り始めますか?
横断歩道の信号が青に変わり、車道の車が停止したのを目の端で確認しつつ、自信を持って堂々と渡るんじゃないかと思います。
私もそうでした。
こんなことは当たり前で、信号待ちの間に他のことを考えてボーっとしていても、
①信号が青に変わった瞬間に、パッと思考が現実に切り替わって、
②車道の車が停止し、
③右折車なども減速又は停止しているという状況判断をした上で、
④「横断歩道を渡る」という行動に移していました。
こんなふうに、わざわざ分析して考えたこともない行動とも言えます。

闘病中、この当たり前にできていた横断歩道を渡るという行動に不安を感じて、道路を横断するたびに、心の中がザワザワと落ち着かない期間がしばらく続きました。
①②③④と順番に確認すれば、できるはずの行動。
それなのに①の青信号の確認より前に、②の車道の車の動きが気になったり、③の右折車などの確認がおそろかになってヒヤリとしたり。

①の確認ができれば、②と③はチラッと短時間で確認すればいいのに、この「チラッと短時間で確認」が難しくて、渡り始めることに躊躇する…。

青信号-リラックス

◆盲導犬のように

盲導犬は、「青→進む」と判断するのが難しく、横断歩道を渡る実際の判断は、盲導犬ユーザーが行なっているので、渡るタイミングで「青になりましたよ」と周囲の人が声かけすると、盲導犬ユーザーの方も安心して渡ることができるという話を聞いたことがあります。

私も信号待ちをしている時に、他の歩行者がいると、一緒のタイミングで渡れる安心感がありました。

今の私は、盲導犬みたいに、渡るタイミングに自信がなくて、すぐには動けない。
うつ病って、こんなふうに脳の働きが悪くなって、脳が赤ちゃんみたいに敏感になるんだ。
当たり前にできてたことって、実はすごく脳を働かせていたってことなんだ。
それなのに、いつも「これができたら次はこれ。その次はこれ」って、自分が作った『次これリスト』ばかり見ていたかもしれない。
目の前の信号はずっと黄色だったのに、行ける行けるって突っ走って、ここまで来ちゃったのかな。

信号を待ちながら、これまでの生き方を振り返り、そんなことを考えていました。

『カウンセリングこころの羽・札幌本店』小田真実

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