こんにちは。札幌市にある『カウンセリングルームこころの羽』の岡本です。
うつ病やうつ状態に伴う休職も、心身の疲労による長めの休暇も一歩間違えると生活のリズムを乱すだけの逆効果になってしまうことも…。
そこで今回は、カウンセリングのアプローチから考える正しい休み方についてご紹介してみようと思います。
◆そもそも何のために休むのか…
肉体的な疲れを癒す目的で休む場合には、体を休ませることが重要なのは言うまでもないことかもしれませんが、心の病とも呼ばれるうつ病やうつ状態、適応障害と診断された場合のお休みはどのように過ごすことが大切なのでしょうか?
そこには重要なポイントが2つあります。
ポイント1. 心の病=脳の病と考える
ポイント2. うつ病やうつ状態は脳の使い過ぎが原因の1つ
そもそも脳の使い過ぎがどのような状態かというと、「考え過ぎている状態」です。
これは、考え方、ポジティヴorネガティヴという意味での「考え過ぎ」ではなく、単純に酷使し過ぎているという意味で「考え過ぎ=脳の使い過ぎ」なのです。
このように考えると効果的に休むために重要なポイントは、「頭(脳)を休めること」となります。
頭を使うことは少なからず心理的ストレス(心のストレス)を増やすことに繋がります。
その状態を軽減するための方法として頭を休めることは心を休めることになり、それこそが休む「目的」となります。
◆でも、何もしないと…
人の頭は、何の情報も入力しないと不安を感じ、実際には存在しない映像や音を作り出すことが様々な実験で分かっています。
つまり、無理に何もしない状態だと休むどころか逆に幻覚や幻聴を作り出すのが人の脳の特徴だと言えます。
そこまでの状態になることが稀だとしても、何もせずにただ休もうとすると過去の失敗やこれまでの人生を振り返ってしまうことは人の脳の特徴から考えると自然な反応なのかもしれませんね。
では、どのような方法が有効かというと…「気分転換になる行動をとること」が選択肢の一つです。
何もしないのではなく、頭を使わずに出来ることを無理のない範囲でやるということです。
趣味がある場合は、その趣味に“適度”に没頭することが気分転換になりますが、思い当たる趣味がない場合は、「嫌いではないこと」を意識的にやってみることが大切です。
この「嫌いではないこと」を選ぶときに大切なのが「新しいこと」をやろうとしないこと。
新しいことを始めるのは少なからずストレスを発生させます。
これは、辛いこと、苦しいことだからストレスが発生するのではなく、楽しいことやワクワクすることであってもストレスを発生させるということです。
うつ病やうつ状態が脳の使い過ぎであることは前述させていただきましたが、新しいことを始めるためには無意識に脳をたくさん使ってしまうのです…。
だからこそ、「気分転換」に使いやすいものは、「嫌いではない」「今までにもやっていたこと」が一つのポイントです。
◆気軽にできる気分転換は…
日常生活の中で気軽にできる気分転換としては…
- 散歩
- 料理
- 読書
- TVを見る
- 音楽を聞く
- ゲームをする
- ペットと遊ぶ
- 誰かと話をする
- 日記を書く
- 絵を描く
などでしょうか?
もちろん、この中で「やったことがないこと」を始めるのは注意が必要です。
心=脳に余裕があるときであれば、「やってみたい」と思うことを始めることは悪いことではありません。
ただ、「疲れているな」と感じるときや「やる気が出ない」と感じている時には新しいことは選ばないようにしてみてください。
うつ病やうつ状態、気分性障害と心療内科や精神科病院で診断された場合や診断されていないけれど、カウンセリングルームなどで「ゆっくり休んだほうが良いですよ」と言われた場合には、いかに頭を使わないかを意識してみてくださいね。
◆最後に…
もう一つだけ重要なポイントをご紹介しておきます。
それは…
“休んでいることを否定しないこと”
です。
これは、仕事や学校など日常生活で頑張っていれば頑張っているほどやってしまいがちなことなのですが、「休んでいること」を「さぼっている」ととらえてしまったり、「これじゃダメだ」「このままじゃダメだ」と否定的に考えてしまう状態です。
ゆっくり休むことは早い段階で回復に向かうために重要なポイントです。
焦る気持ちも仕方ないと思いますが、どれだけ「ゆっくり休めたか」が後の回復へつながる重要なポイントになりますので、せっかくのお休みの機会を有効活用して問題解決に近づいていきましょう。
『カウンセリングルームこころの羽・札幌本店』岡本教兵