こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングルームこころの羽』の岡本です。
私は、学生時代からアニメを観ることが大好きで、その傾向は社会人になってからも続いているのですが、最近ではリアルタイムで観るよりもAmazon Prime Video（アマゾンプライムビデオ）で空いた時間にまとめて観ることが多くなっています。
ここ最近でまとめて観たアニメの中でも特に印象に残っているのが、西尾維新さん原作の『化物語』（ばけものがたり）シリーズです。
この化物語シリーズと言うのは、かなり長編な物語で、登場人物の誰にスポットが当たっているエピソードかによってタイトルまで変化してしまうほど色々な面にこだわりを感じるものでした。（『猫物語』やら『偽物語」やら、『恋物語』やら…基本的な登場人物は同一ですが、重要人物がそれぞれのエピソードにより大きく異なります。）
登場キャラクターに対する想いなどを書き始めると、あまりにもマニアックなブログになってしまうので、そのあたりは割愛させていただきますが（汗）
アニメ化一作目の『化物語』１話目か２話目あたりに出てくるセリフに鳥肌が立ったので、そのことを少しだけ紹介させていただこうと思います。
（ネタバレの要素を含みますので、作品自体が気になった方は、是非、シーズン１を観終えた後にこの記事を読んでくださいね！）
主人公の男子高校生・阿良々木暦（あららぎ こよみ）は、ある日、学校内で「体重が極端に軽い女子生徒」戦場ヶ原ひたぎ（せんじょうがはら ひたぎ）に出会います。
この「体重が極端に軽い」という現象は、本作の中で「怪異」（かいい）と呼ばれる妖怪や幽霊などの類の仕業であることがストーリーが進むにつれて明らかになっていくのですが、阿良々木暦が戦場ヶ原ひたぎの抱える問題の解決を手助けしようとするところからストーリーは大きく展開していきます。
その段階で登場するのが、忍野（おしの）と呼ばれる男性。
この男性は、「怪異」の専門家であり、主人公の阿良々木暦が怪異のトラブルに巻き込まれた際にも力を貸してくれた恩人。
この忍野に戦場ヶ原を紹介するときのシーンが非常に印象的でした。
自分自身の問題解決を相談する戦場ヶ原は、忍野に対して「助けてくれるんですか？」と質問をします。
しかし、忍野は、「助けないよ」との回答。
続いて「僕が助けるんじゃない。君が勝手に助かるんだ。もちろん手助けはするけれど」との言葉。
この「助けるわけではない」「相談者が勝手に助かるのだ」という考え方は、カウンセリングにも共通する考え方の一つであることを感じて、この作品の奥の深さの虜になってしまったのです（笑）
実際にカウンセリングにおいても、カウンセラーが相談者さまのことを「助ける」ことは出来ないのです。
と言うのも、いくら専門家であると言っても初対面の人物を１時間程度話しただけで「助ける」ことが出来たとしたら、そちらのほうが非現実的ですよね？
24時間一緒にいられるわけでも無いカウンセラーに出来ることは、とても限られています。
そして、これはカウンセリングにおける基本的な考え方の一つですが、相談者さまは、「本来、自分で自分のことを助けることが出来る」というのが重要な事実です。
人の心は体と同様、自然治癒力のようなものを持っています。
それが発揮されれば、様々な問題は自然と解決するはずなのですが、この自然治癒力が何らかの問題によって発揮できない状態になっていることが、心の負担となったり、問題解決を阻害しているのです。
カウンセラーの仕事は、この自然治癒力の邪魔をしている「何らかの問題」を明確にしたり、取り除くためのヒントを相談者さまへ伝えることによって、相談者さまが望む方向に近づくことを「手助けする」（＝サポートする）ことだと私は考えています。
もちろん、そのための手段や方法については、専門的な勉強や経験をしてきていますので、「助けない＝何もしない」というわけではないのですが（汗）
それでも、『化物語』の中で怪異（＝登場人物が抱える悩み）の専門家として登場する“忍野”は、まるでカウンセラーのような存在だなと感じずにはいられないのでした(^^;
カウンセリングにおいて、もっとも理想的なカウンセラーというのは、相談者さま自身が「自分で何とかなってしまったな」と感じるようなサポートが出来る人物なのかもしれませんね。
『化物語』は、カウンセリングも人の心も奥が深いなと感じるきっかけになるアニメ作品でした(^^)
追伸
最新作がイベント上映されているようなので、私も札幌で対象の会場がどこか探してみようと思います（笑）
『カウンセリングルームこころの羽』岡本教兵