こんにちは。札幌市北区にある『カウンセリングこころの羽・札幌本店』の岡本です。
私が心理カウンセリングを担当させていただいているご相談者さまにとっては有名(?)な話かもしれませんが、お恥ずかしながら私は妻とよく喧嘩をします(笑)
その内容は様々で…子育てに関するものから、お互いの価値観に関するものまで、ありとあらゆる内容でケンカしてきた自信(?)があります。
しかも…我が家の夫婦喧嘩のルールは、お互いスッキリするまでトコトン話し合うこと。
これは結婚前から意識し続けていることでもあり、恐らくこれからも続けていくルールなのではないかと思っています。
今回は、夫婦喧嘩解決方法の一例として、上手くいく場合と上手くいかない場合の両方を心理学に照らし合わせながらご紹介してみようと思います。
もちろんすべてのご夫婦に当てはまるとは思いませんが、何かのヒントにしていただければ幸いです。
◆心理カウンセラーが夫婦ゲンカをしてしまう時のパターンは…
日頃、心理カウンセラーとして多くのご相談者さまのお悩み相談を担当させていただいている立場であることを考えると夫婦喧嘩になってしまうこと自体が不思議に思う方もいらっしゃるかもしれませんが…そこは自宅に帰れば、普通の夫ですので夫婦ゲンカになってしまうこともあります(汗)
心理職(公認心理師や臨床心理士、心理カウンセラーなど)と呼ばれる仕事をしていてもプライベートでは「普通の人」なのです…。
ご相談者さまのお悩みに対しては客観性を持った視点で考えることが出来ても、自分のことだと主観的になってしまい、それが妻とのすれ違いの原因やきっかけになってしまう…。
これは私に限らず、多くの心理職者に共通しているのではないかと思ってしまいます(笑)
冷静に…客観的に考えれば解決策に気づくはずなのですが、感情的になってしまい、相手を責めるような表現になったときに夫婦喧嘩は泥沼へと突入します…。
とくに自分自身のトラウマに触れられるような状況だと無意識に感情的になるため、相手にも嫌な思いをさせてしまうことに…。
中長期的には、この「トラウマ」自体に向き合うことも大切になる部分ですが、まずは夫婦喧嘩の状態になったときの対処方法をご紹介していきます。
◆夫婦ゲンカが解決しないときの共通点
どちらか、もしくは両方が「卑屈(ひくつ)」になっていたり「落ち込んだまま」になっているときには相手の歩み寄りを受け入れられず解決に至らないことがあります。
また、夫婦喧嘩の原因は、どちらか一方に大きな課題や問題がある場合も少なくありませんが、「きっかけ」がどちらか一方の責任が重くても「原因」は両方の日頃の言動にある場合も多いのではないでしょうか?
例えば…
- ・子育て育児に協力してくれない夫に対して妻が「ついつい言い過ぎてしまう」という状況
- ・家事や仕事で忙しい妻に対して夫が「もっと自分のことを考えて欲しい」と言ってしまう状況
- ・子供の躾(しつけ)について協力してくれないが、文句は言ってくる状況 などなど
このような場合は、「どちらかがもう片方を責めている状態」を解消してから歩み寄る必要があります。
攻撃的な態度では関係の改善が難しいのが、人の心の特徴なのです。
このことは心理カウンセリングにおける心理分析にも活用される『自己実現理論』に照らし合わせると説明することができます。
問題や課題に向き合って「改善」を心から考えられる状態というのは一番上の段階である「自己実現の欲求」になります。
この理論は、下の段階の欲求がある程度満たされることにより一つ上の段階の欲求が現れやすくなるという考え方が基本となりますので、お互いに「問題解決」に向き合うことができるまでには、その下の「尊敬、評価の欲求」「社会的欲求/帰属欲求」「安全の欲求」「生理的欲求」が満たされている必要があるということです。
これが、相手に非があったとしても「責める状態」のままだと安全の欲求が満たされないままになるため、本当の意味で「問題や課題に向き合う心境」にはなりにくいという現象が発生します。
◆夫婦ゲンカを解決するためのヒント…前提条件を見直す
では、どのような考え方や話し合いが夫婦喧嘩を早期解決することに繋がるかという視点で考えてみると…
お互いの前提条件(価値観)を見直すこと。
ではないかと感じます。
うちの夫婦の場合は…
私が北海道札幌市出身で妻が栃木県出身のため、そもそも地域の風習や環境は異なっている状況で生まれ育ちました。
この「事実」を無視して、「これは、こう考えるのが当たり前じゃない?」と議論しても体験してきた人生が違い過ぎるため、話合いが平行線どころか悪循環に陥ることも少なくありませんでした。
その考え方を…
生まれ育った場所が全く違うのだから、価値観が違うのは当たり前。
と考えたところから「どちらかの価値観を押し付ける」のではなく「お互いの価値観を理解し合う」という気持ちや考えに変化したように思えます。
つまり、価値観の違いを責め合うのではなく、お互いのすれ違いポイントをはっきりさせて、「歩み寄るためのヒントを見つける」ということを意識したあたりから“ケンカの質”が変化したように感じます。
先日、妻と気持ちのすれ違いから落ち込ませるような状況に陥ってしまったのですが…
HSP傾向の強い妻の場合、細かな部分を気にしたり完璧を目指す傾向があることで、「子育てのことを夫に話す」=「グチや娘の悪口」=「ダメな母親」だと思い込んでいたようでした。
この考え方(前提条件)を約2時間に渡る話し合いの結果…「グチではなく、親としての大切な情報共有」という考え方に変化させることができたところで妻の表情がいつもの明るいものに戻っていったことが印象的でした。
もちろん、これからもすれ違いは日常的に発生するでしょうから、どこまでも「ゴール」は無いのかもしれません。
それでも、自分自身の「主観」で考えるのではなく、「相手は、なぜ、そのように考えているのだろう?」と疑問を持って、まずは自分から歩み寄ることがご夫婦問題に関する解決の近道なのかもしれませんね(^^)
『カウンセリングこころの羽・札幌本店』岡本教兵